一冊の本を読み終えた時に味わう、何とも格別な気分は病みつきになるものです。私は今日、女性小説家が書いた随筆を完読しました。人を愛すること、小説を書くこと、着物を楽しむことを生涯おこなってきた作家のエッセイは、生きる力と人生を謳歌することが存分に詰め込まれていました。このエッセイは着物について書かれたものです。そのため現代社会で生きる私にとって今までかなり敷居が高かった装いを、とても身近に感じることができたように思います。
正直言うと帯を買うだけで何十万もするという感覚を持っているためか、いつか着てみたいけどなかなか装う機会がないと半ば諦めておりました。この書籍を読み終えた今、そんな気持ちが少し薄らいだような気がします。なぜならばこの本の作者が、オリジナリティを持って自分の頑張れる範囲で楽しむおしゃれのたしなみを教えてくれたからです。お金をかけなくても、今手元にあるもので工夫して創意することが大切だということを知ったのでした。それは頭では分かっていてもなかなか実践できず、消費の渦に飲まれ続けていたことを改めて知りました。着物だけではなく、洋服だって創意工夫は大切です。今ある洋服を自由自在にコーディネートしてファッションを楽しむことが出来たら、生活はもっと開けてゆくように思います。こうした心意気がいつしか新しい可能性を見出してゆくのではないでしょうか。そんなことを改めて考えさせられたエッセイを読むことができたことは、私にとって宝物だと感じております。おしゃれを楽しむ創意工夫と自由さと軽やかさを胸に、明日からの暮らしが少しずついい方向に変わってゆけばいいと思っています。
9月27