もう読まなくなった古い本を使って、押し花をつくっている友人がいます。とくに植物に興味があったわけではなく、最初は、親せきの子に工作の授業で使うから、集めておいてほしいと言われ、散歩の途中で拾った紅葉を挟んでおいたのが、きっかけらしいです。それがあまりにもきれいだったため、いつしか習慣になったんですって。
今は、いい趣味を持った、と言いながら、季節ごとにたくさんの植物を集めています。中でも一番好きなのは、四葉のクローバーだそうです。日本では幸運を呼ぶといわれていますが、イギリスでは、妖精の悪戯から身を守ってくれるお守りの役目を果たしているのだと、以前、ファンタジー小説で読みました。そんな素敵なものを、彼女はもう何枚も持っているのです。
いつかの私の誕生日には、それで作ったしおりを贈ってくれました。もうだいぶ前のことなので、今はクローバーもすっかり色あせてしまいましたが、大好きな本を読むには、必ずそれを使っています。ファンタジー作品のときは絶対です。
ちなみに彼女がその本を押し花作り専用にしたのは、厚さがちょうど良さそうだったから、ということで、後に同じ本をもう一冊買ったというのですから、驚きです。好きな作品だったのですね。
12月5