何年か前の木枯らしが吹き始めた季節のことです。書店に立ち寄ったところ絵本コーナーに「手袋にまつわる作品」が置かれているブースを見つけました。そこには動物や子供達が主人公の手袋が登場する物語が並んでいました。どれもとても可愛らしくて素敵なものばかりで、思わず何冊か手にとり読んだことを覚えています。その中でも一番私の心を揺さぶったのはキツネの親子が登場する作品でした。表紙に描かれた白銀の世界に佇むきつねの親子が美しく、またどこか儚い表情が心に焼き付いています。サラッと目を通してみたところストーリーもしっとりとしていて、思わず涙ぐみそうになりました。それから数日経ってもこの作品が頭から離れることはなく、時間が経つにつれてまるで一目惚れをしたかのように思いを募らせたことから購入することにしました。そして素敵な絵本との運命的な出会いに胸を打ったため、友人の愛娘へプレゼントすることにしたのでした。そのプレゼントは友人のおうちに遊びに行く際に手土産として持ってゆき、その場で3歳の女の子へつたない読み聴かせをおこないました。
それから数ヶ月経ったある日、その友達とランチをしていた時にプレゼントした絵本の話になりました。どうやら私と同い年の友達がとても気に入ってしまったようで、子育ての合間にその絵本を眺めることがあると言ってくれました。その話を聞いてとても嬉しくて幸せな気持ちになったことが今でも心に残っています。これからも素敵な作品との出会いがあることを胸に、これからも書店通いに精進しようと思ったのでした。
11月20