長く生きるうちには良いときもそうでないときもあり、どんなに好きなことであっても、最期まで続けるのは難しいことです。しかし逆に言えば、それでも続けていくことこそが、成功する秘訣なのでしょう。最近、多くの自伝や伝記を読み、一生をなぞったテレビ番組を見て、そう思いました。
子供の頃から偉人と呼ばれる方たちの話は読んでいましたが、そこまで深く考えたことはなかったのですよね。ただ「逆境に負けない姿がかっこいい」「私もこんなふうになりたい」と憧れていました。大人になった今、実際に目指す姿になれているとは言えないところが、ちょっと残念ではありますが……なにせ目標だったのが、歴史の教科書になるような方々なので、レベルが違いすぎたのでしょう。そう思って自分を励ましています。
それにしても最近は、子供用の伝記に取り上げられるメンバーの顔ぶれも、ずいぶん変わりましたね。簡潔に言えば、最近の方が増えている気がします。「え、もう本になっちゃうの?」と言うような、歴史上ではなくお名前を存じている方たちです。その話も、いずれは「昔はこんな人がいたのね」なんて思われるようになるのかしら。そう考えると、ちょっと不思議な気がします。
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小さな演奏家の進歩
もうかなり昔のことですが、自宅を掃除していたら、楽譜がたくさん出てきました。学生時代の音楽の時間に使ったものです。当時の先生は教科書の曲だけではなく、いろいろなものを紹介してくれたのですよ。懐かしくて見ていると、遊びに来ていた親戚の子が「それちょうだい」と言いました。ピアノを習い始めたばかりだった彼女は、自分に弾ける弾けないに関わらず、楽譜自体に興味があったのです。どうせ自分ではどうするあてもありません。迷わずにプレゼントしました。
そして今、彼女はそのときの曲を、すべてマスターしているそうです。この間うちに寄ったときに、そう話してくれました。私がその子の家に遊びに行ったのだったら、聞かせてもらうこともできたのになあ。残念です。
いつだったか有名な指揮者さんのエッセイで、自分はどんなときにも譜面を手放さず、暇さえあると暗譜していたという文章を読んだことがあります。年下の親戚も、そんな状態だったのかしら。エッセイは多分、書棚を探せばあるはずだから、もう少し大きくなったら、お勧めしてみるのもいいかもしれません。今読むにはまだちょっと、漢字が多くて難しいでしょうからね。あの本は私に、音楽の偉大さと難しさを教えてくれました。
漫画が深める家族の絆
電子書籍で買ったコミックスの次の巻の購入を迷いながら、ふと、だいぶ昔に友人が話していたことを思い出しました。当時は学生で、お小遣いも今よりずっと限られていた私達。当月買うことができる本の数にも限界があり、私は毎月、その取捨選択に悩んでいました。しかし友人は、どんどん新刊を読んでいます。たしか自由になるお金は同じのはず、それなのになぜ……と思いきや。
「一巻を買ってリビングに放置しとくと、誰かが続きを買うんだよ」とのこと。家族みんなが漫画好きだから、一巻が気に入れば、他の誰かが続刊を集めるのですって。もちろん、友人がおねだりしたわけではないので「お前のために買ったんだぞ」と恩を着せられることもありません。ただ「また策略にはまった」とは言われるそうですけれどね。
彼女にはまだ小さな妹がいたので、後には買う側になっていたことを考えると、役割が巡り巡ることで、家族内のバランスもとれていたことでしょう。まったく羨ましい仲良し家族です。同じ話題があれば、話も弾むのではないでしょうか。ただこれは昔の話です。今は世帯も別れ、彼女は実家以外の人達と、別の仲良し家族を築いています。そこでも同じように、皆で同じ漫画を読んでいると思うと、やっぱり羨ましいです。